2017年1月28日土曜日

「ポスト・トゥルース」とは?



英国のオックスフォード大学出版局が、2016年を象徴する言葉として、Post Truth(ポスト・トゥルース)を選んだ。

この言葉は、ほんの最近出てきた言葉で定義は定まっていない。


米国で「ポスト・トゥルース」、
日本では、「ポスト真実」といい、やや意味は異なるようだ。

しかし、書いてある内容が事実かどうかということでは、それがウソであるという点は共通しているのである。


世界的な「ポスト・トゥルース」は、

受信者が事実かどうかということは問題にせず、
自分の都合のいい、いわば「ザマー見ろ」と思えるような溜飲を下げる話題だけを見ていく現象

だといえるのだ。


日本の場合、発信者が意図的に世論を誘導したり、印象を操作したりするための「デマ」となることが多い。
 
発信者と受信者の関係で見ると、
ポスト・トゥルースという問題は情報の受け手にある。

発信者はページビュー(PV=ウェブサイトの閲覧数)を稼ぐために悄報を発信している。

見てもらうことで広告収入を得るため、
嘘でもいいから人がスカッとする「偽二ユース」を発信する。

受信者は、受けた情報が事実に基づくものか、でっち上げなのか分からないように書かれているため、自分が正しいと思えるものは正しいものとして読んでしまうのだ。

センセーショナルなものであればあるほど、情報は流通する。

情報の価値はいま、読む側が決めている時代になっている。

無料で情報を得たい読者の側のニーズ(要求)と、PVが多ければいいという発信者の側の思惑が組み合わさっているためだ。

フェイスブックなどSNS(会員制のソーシャル・ネットワーキング・サイト)を通じ、「偽ニュース」でも拡散できるようになった。

センセーショナルな情報であればPVを獲得でき、自分と同じ価値観を持つ人間同士や仲間などの中で広がり、そこから別の仲間に波及する増幅効果がある。
 
新聞は紙媒体のため、読者が読むにとどまり、
そこからの拡散は限られるが、SNSなどのデジタル情報は拡散していく。

しかも、デジタル情報は見ている側にとって見出しと記事で構成されるニュースの形に一応なっている。

ニュース記事のようであれば、「ニューヨーク・タイムズ」だろうが、極右サイトの「プライトバート・ニュース」だろうが、同列に映ってしまうという。
 
これまで読者は料金を払って一紙なり二紙なりの新聞を選択していたが、今は細切れの記事が無料で読めて無数の情報源にアクセス可能だ。

ジャーナリズムには記事の信憑性を大事にし、
裏取りなどのエディトリアル・コントロール(編集管理)があるが、
ウェブ媒体の人たちにそんなものは全く関係なく、売れるかどうかという基準しかない。

伝統的メディアとPVを稼ぐウェプ媒体が混在し、それが同じデジタルの土俵に乗っているのが現状なのだ。

タブロイド紙やスポーツ紙にも編集者としての最低限の誠意や誠実さが残っていたが、ウェプ媒体には全くない。

「偽ニュース」は、情報の真偽にかかわらずサイトのアクセス数が増えれば収入につながるが、新聞などの伝統メディアは収入増のために嘘の情報は流せないのだ。

ウェブ媒体は買ってもらえなくても構わない。

既存のメディアが持っている倫理観を一歩飛び越えてしまったところに、
ポスト・トゥルースが生まれた背景がある。

そうした中にあって、読む側のリテラシー(読み取る力)の重要性を増してきている。


「ポスト・トゥルース」

トランプ政権になってますますこの言葉がこれからマスコミに登場することだろう。


関連参照
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2017年1月18日水曜日

身体の歪みにご注意


椅子に座っていると、いつの聞にか脚を組んでいたり、脚を組まずにはいられなくなったりするという人がいます。

脚を組むクセがついているだけだと思われがちですが、この場合、脚を組んで座らなければ姿勢が不安定になってしまう「身体の歪み」を生じている可能性があります。 

特に「脚を組んだ方が楽だ」と感じる人は要注意といえます。

脚を組むと椅子の座面にかかる体重に左右差が生じます。

これは座面に対して骨盤が傾き、左右の座骨の当たり具合に差が出るためです。

こうして背骨の土台である骨盤が歪むことにより、上半身や頭部の姿勢維持が不安定になります。

その結果、肩こり、腰痛、背中の痛みなどの体調不良につながりかねません。

椅子に座るたびに足を組んでいると、足を脚を組み続ける姿勢を保持する筋肉の疲労を招くことになります。

そして、さらなる「身体の歪みjに影響し、悪循環に陥ってしまうのです。


もし脚を組んでいる自身に気が付いたら、次のようなエキササイズをしてみましょう。

1>組んだ脚側のお尻と太ももの側面をトントンとリズミカルに叩いて筋肉をほぐします。
反対側も行います(気持ちよく感じる程度の強さで)。

2>組んだ脚をずらして足首を対側の太ももに乗せ、付け根から上半身を前傾します。
お尻や股関節周りが伸びるよう10秒間キープしたら組み替え、反対側も行います。

これで、多少、身体の負担を軽減させることができます。

2017年1月8日日曜日

腹八分目を考える

長寿の人に食事で心掛けていることを尋ねると、
「腹八分目に医者いらず」や「食は控えめで、ちょうどよい」
といった、食べ過ぎを諫める言葉がよく出てきます。

 
腹八分目が健康に役立つのかどうかというテーマは、約80年前から科学的にも研究されていました。

原生動物やミジンコ、サクラグモ、ラットなどは、通常食よりも、エネルギー制限食をした方が、平均寿命が1.4~1.9倍延びたそうです。

現在、行われている実験の多くは動物実験なので、人間にそのまま当てはめてよいかどうかは明確ではありません。


近年の研究では、

・エネルギー制限食は、長寿や老化をコントロールする遺伝子と関係しているのではないか
・生活習慣病の予防改善
・加齢による老人性難聴、脳機能低下などの予防改善

に役立つのではないかと期待されています。


しかしあまり厳しく制限し過ぎると、エネルギーや栄養不足になり健康障害が起きます。

特に、食の細いお年寄りは栄養バランスを取りにくくなりますから、身体レベルなどを見極めなければ危険を伴います。

最近は低カロリーやゼロカロリーの人工甘味料を使用したダイエット飲料が人気です。

しかし、脳はカロリーのある糖質でなければ満足感を得られず、またダイエット飲料を飲んだという安心感が油断を招くためか、結局多く飲み続けている人は肥満傾向が高いという結果も報告されています。

日本では、食べ切れずに捨てられる食品廃棄物が年間約2000万トンといわれています。
ー方で食事がままならない子どもたちが増え社会問題となっています。

「腹八分目」という言葉には、わが身のことばかりではなく、他者への配慮や、食べ物を大切にしなさい、という意味もあるのかもしれません。


関連参照
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