2016年12月28日水曜日

爪のことフットケア外来のこと

歩いていて、

足のアーチを生かした重心移動ができないと、
爪に上から適度な力がかからないことから

「巻き爪」「陥入爪」(かんにゅうそう)等になる危険がでてきます。


爪が皮膚に食い込んで痛くなり歩行に支障を来すのです。


また人は本来、爪があることで、指に力を入れて歩くことができています。

その爪の伸び方が適切でないと、転倒しやすくもなるのです。

 
特に高齢者は一度転倒すると、骨折を機に寝たきり状態となったり、その恐怖心から家に閉じこもったりして、衰弱するケースもあります。

健康寿命を縮めてしまいかねませんので、転倒時などは専門家の診断を受けましょう。

医療行為としてのフットケアは、
足や爪の変形のほか、たこ・うおの目等の皮膚の病気にも対応しています。

ただ、足に壊疽が起こり得る、糖尿病の患者以外を対象としたフットケア外来のある医療機関はごくわずかです。

「フットケア指導士」等の資格を持つ医療従事者もいますが、まだ十分に活躍できていないのが課題といわれています。

2016年12月18日日曜日

海洋ゴミの問題②


海洋ゴミの人体への影響については、
今の現時点では、一応「ない」と考えられている。


マイクロプラスチック浮遊数が世界有数の東アジアの海域でも、海水1トン当たり3~4個程度なのだ。

海水浴をしたり、魚を食べて影響か出るという段階ではないのだ。

 
ただ、研究者の多くは海洋ごみの今後の増加を懸念している。

生態系への影響が確認されたのは実験室内の話だが、それが自然界での影響が確認されてからでは、もう手遅れだ。

プラスチックは分解されないし、細かくなってしまったら回収できないのだ。

浮遊する濃度が増え続けたら、人体への影響が現実のものとなる可能性はある。


現状は、最悪のシナリオを考えつつ、研究・予測している段階だといえる。


解決には、何が必要なのでしょうか。


現在の文明はプラスチックに、よって立っている側面がある。

もちろん、プラスチックを使わないのが理想だが、そういうわけにもいかない。

プラスチックがない産業構造も考えにくい。だから、一筋縄ではいかない難しい問題といえる。
 
あえて言うなら、「使わなくてよいプラスチックは使わない」という社会構造の変革が必要なのだ。


しかし、それは、文明の変革といってもよいでしょう。

例えばビニール袋やペットボトルなど、使い捨てが前提のプラスチック製品は「本当に必要なのか」というところから始めて、必要最小限のプラスチックしか使用しない社会構造を築かなくてはならない。

具体的な事例としては、米カリフォルニア州ではレジ袋の規制が始まっている。

根本的な解決に直結するわけではないが、こうした先例を徐々に広げるしかないのだ。


プラスチックの便利さを手放すには、覚悟が要求される。

社会の共通認識を世界的に育むという文明の「体質改善」が重要となってくる。

ポイ捨てがマイクロプラスチックを生み出す、との意識を広げる必要があるからだ。

この点では、教育が果たす役割は非常に大きいといえる。


専門家やNGO、産業界などの意見を踏まえ、必要があれば大胆な法規制を世の中のコンセンサスを得た上で進めることが求められる。

海洋ゴミやマイクロプラスチックは国境を越えて移動するので、マイクロプラスチックの多い東アジアの海域調査では、日中・日韓など国をまたいでのリサーチが必要である。


関連参照

2016年12月8日木曜日

海洋ゴミの問題①



世界や日本における漂流・漂着している海洋ゴミの問題はすでに世界的課題となっている。

実際、世界のプラスチック生産量が急増する中、2010年時点で480万~1270万トンのプラスチックが海に流出しているというのだ。

2015年にドイツのエルマウで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議では、プラスチックゴミによる海洋汚染が世界的課題となっていると初めて首脳宣言に明記されている。


また、今年5月のG7伊勢志摩サミットでも海洋ゴミへの対処が再確認されてもいる。


特に、人口の多いアジアでは多くの海洋ゴミが発生しているのだ。
陸上から海洋に流出したプラスチックゴミの発生量は、中国を筆頭に、トップ10のうち6力国を東アジアと東南アジアの国が占めている。

どうしてこれらの国々なのか?

それは、消費が多く、廃棄やリサイクルのシステムもそれほど整っていない、ということが背景にある。


では、日本は、というと30位で国内から流出するゴミの量は比較的少ないが、東アジアの海流の下流に位置し、大量のゴミが漂着してきているという。その7割がプラスチックゴミなのだ。


プラスチックゴミは、壊れにくく水に浮くため、生活圏から川などを経由して海流に乗り、遠くの海岸などへ運ばれている。


プラスチックは紫外線や寒暖差などで、もろく細かくなり、波にさらわれて海を漂う。

こうしてできた5ミリメートル以下のプラスチックゴミは、「マイクロプラスチック」と呼ばれている。


下水処理をすり抜けて自然環境に流出していて、日本周辺海域におけるマイクロプラスチックの数は、平均的な世界の海の27倍に上るという報告もある。


では、マイクロプラスチックは生態系に影響を与えているのか?

マイクロプラスチックに関しては研究者の中でも、ここ5年で関心が急速に高まってきているという。


最近では、エピやカニ、市場で売られている魚といった海洋生物、海鳥などからマイクロプラスチックが発見されたという報告が増えているからだ。

世界中の海に漂うマイクロプラスチックが、生態系の中に入り込んでいるのは確かだといえる。
 
ただ、これが生態系への影響がある否かは、まさに研究の真っただ中である。

あまり影響がないという論文がある一方、例えば東京農工大の高田秀重教授のグループは、室内実験を通して、マイクロプラスチックに付着した有機汚染物質が生態系に蓄積される可能性を指摘した。
 
あるいは、マイクロプラスチックをプランクトンや稚魚などの魚介類が食べると、成長阻害や生殖障害が起こるという研究もある。


プラスチック自体は栄養でも毒でもなく、大型の生物が食べる分には問題ないが、小型の生物が食べると無駄なエネルギーを消費してしまうためだ。

海洋ゴミの問題は、どこか心の隅にでも置いておくことが必要なのだ。


関連参照

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