なかでも日本で生産されているジャポニカ米は、日本食レストランの普及とともに、その需要も高まってきています。
農林水産省の調査によると、世界における日本食レストランの店舗数は、2015年7月時点で8万9000店です。
これは2013年1月時点の1.6倍当たります。
アジアでも同様で、2015年7月時点で4万530店となり、これは2013年1月時点の1.7倍と急増しています。
では、なぜ日本食の人気が高まっているのか。
その理由には、世界的に日本食がヘルシーな食事として認知されてきていることがあります。
加えて「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことも少なからず影響しています。
さらに、日本食に欠かせないコメそのものが、昔よりもうまくなったことが挙げられるのです。
日本人にとってみれば意外かもしれませんが、実は日本産米は、これまで海外での評価は
芳しくなかったのです。
国内の農家はみな、「日本産米こそ世界一おいしい」と思っていますが、これは正しい認識ではないのです。
海外の評価が低かったのは、日本で精米してから現地で消費されるまでに時間が経ってし
まっていたためです。
コメは生鮮食品である以上、時間とともに品質が悪くなるのは当然のことといえます。
ただ、最近になってこの問題も解消されるようになりました。
国内最大手の農機メーカーであるクボタが、海外で精米するようになったからです。
これまで香港、シンガポール、モンゴルに子会社を設立し、日本の企業としては初めて、
現地で精米する事業に乗り出しているのです。
子会社では、日本から届いた玄米を低温で貯蔵し、現地の日本食レストランやスーパーからの注文に応じて精米しているのです。ですから、鮮度の良さにかけてはいうことがありません。
この事業に真っ先に参加したのが、クボタのディーラーとして新潟市に拠点を置く新潟クボタ。
同社は2011年から香港、シンガポールとモンゴルにも日本産米を届けているのです。
その輸出実績は2012年に55トンだったのが、2015年には652トンに達した。2016年の目標は1475トン。
同社の社長が抱えるのは、日本のコメに対する切迫した危機感だった。
国内人口が減るなか、コメの消費はますます減っていくのは必至という状況。
同社の社長は、語気を強めて、
「だったら外に向かうしかない。狙うべきはアジア。日本経済全体がアジアの需要を取り込まない限り成長はない」
ということで、輸出のチャンスは広がってきたのです。
「loT」の後押しを受けて、日本のコメは、いま黎明期を迎えつつあるようです。
関連参照:
和食の基本知識
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