2017年12月10日日曜日

子どもを巻き込む「夜ふかし文化」


日本では戦後の高度経済成長期以降、夜遅くまで働く労働環境が定着し、人々のライフスタイルは「朝から夕方まで」から、「昼から夜へ」型にシフトしました。

とくに、バブル崩壊以降、季節や昼夜に関係なく消費活動を促進するために大人の労働環境はますます厳しさを増しており、健康的な唾眠を確保しにくい状況にあります。

当然、そうした大人のもとで育つ子どもも、睡眠時間が奪われる格好となっています。

幼い子ともの遅寝の理由はさまざまですが、父親が夜遅くに仕事から帰ってきて、物音がするので子どもか起きてしまい、父親の夕食につきあってそのまま夜中まで大興奮ということもあるでしょう。

共働き世帯、一人親世帯では子どもの就寝時刻は遅くなりがちです。
 
労働環境の変化に加えてライスタイルの個人化に伴う旺盛な消費行動や、ストレスも夜型生活を助長していきました。

24時問営業のコンビニやゲームセンター、ネットカフェ、飲食店では、強くてまぶしい直接照明が夜の街を明るく照らしています。

深夜、コンビニや量販店で、こんなにも街に幼児がいるのかと思うほど親子をよくみかけ
るし、週末の夜の街には中学生や高校生があふれ、眠らない夜を過ごす者も増えている
と報道されています。

外はまぷしいけれど、家の中は暗くて静かというならまだいいでしょう。

しかし、いまは家庭でもテレビ、DVD、インターネット、スマートフォンなどのマルチメディアが浸透し、24時問休むことなく利用可能な「人工的白夜」を作りだしています。
 
こうしたことの結果、乳幼児が夜遅くまでテレビやDVDをみたり、若者が夜ふけまで友だちとメールを交換したり、マンガを読んだり、ネットゲームに夢中になったりして、「自分の世界」を楽しんでいます。

2013年8月、厚生労働省研究班が発表した全国の中高生のネット使用実態に関する調査
で、「病的な使用」、いわゆる「ネット依存」が強く疑われる生徒が8.1%にのぽることが判明し、専門家からはこれに伴う健康への悪影響か指摘されました。

ネット依存がもとで睡眠障害に陥り、病院を訪れる子供が急増しています。

印象的なのは、「スマホから逃れるために学校にかくまってほしい」と訴える子供が
いると、ある高校の校長先生が話してくれたことです。

授業中や部活中なら通信不可、との大義名分が立つからです。

ネット利用に伴う睡眠障害の増加は降ってわいた新現象というよりも、テレビの登場に始まる夜型生活の現象というべきでしょうか。

今後もこうした現象は次々とあらわれてくるでしょうし、その度に新たな睡眠障害の子だちが生まれてくるだろうと考えられています。
 
家での娯楽がほぼラジオに限定されていた時代と違って、今はもっと脳を刺激し、興奮させてくれるようなものであふれています。

祖父母の世代が青春時代にその面白さを覚えてしまった夜型生活は、皮肉にも着実に次世代へと受け継がれ、とくにここ10年ほどのマルチメディアの急速な進展によって、もはや止められないところまで進行しているのではないでしょうか。

大人たちの労働環境の変化、それに伴う消費・娯楽文化の浸透が子どもを巻き込んでいたのです。

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