農薬や肥料の散布。野菜などの生育状況の観察など小規模農家への売り込みも活発になってきている。
三菱商事と日立製作所が昨年設立したベンチャー企業‐「スカイマテイクス」(東京)が開発した最新の農業用ドローン。
直径2メートルのドローンが夕マネギ畑の上空を飛び回り農薬の代わりに水をまいていく。
手元のコントロ上フーの画面には、飛行位置や農薬の散布場所などが瞬時に示される。
同社が10月25日、福島県郡山市の農場で、農薬散布の実演を報道関係者に公開し
「機体の安定性には自信がある」と説明した。
農業用ドローンは、機体下部に農薬や肥料を詰めるタンクを備える。
農家が背負うタイプの噴霧装置だと1ヘクタールの散布に丸1日を要するのが、これをドローンでやるとだと10分ほどで済んでしまう。
調査会社のシードープランニング(東京)によると、
このドローンの市場は、「有望な市場」でさまざまな業界の参入が相次いでいるという。
農薬散布用ドローンの市場規模は、2016年の12億円から22年年には200億円に拡大する見通しだ。
住友商事などが出資するペンチャー企業「ナイルワークス」(東京)のドローンは、
水田のイネの生育状況をカメラで撮影・観察しながら、農薬や肥料をまくことができる。
18年5月から試験販売する予定で、同社の社長は「農業を若者が魅力を感じる最先端産業にする」と意気込んでいる。
今年7月に販売を始めたクボタは、ドローンが撮影した農作物の生育状況などのデータを解析し、人工知能(AI)で自動運転のトラクターに作業の指示を出すシステムの構築を目指す。
一方で普及に向けた課題もある。
農林水産省の運用指針では、農薬散布用のドローンを使用する場合、操作する人の他に、補助員が現場に立ち合い、畑を外れて農薬を散布することがないか、チェックする必要があるのだ。
現状では、ボタン一つで自動的に散布する完全な自動化は認められていないのだ。
これが、「高齢の農家らがドローンに二の足を踏む理由の一つ」との声も出ている。
農水省は年明けにも開く有識者会議で安全性の確保などについて議論し、
今年度中に完全自動化を認めるかどうかの結論を出す方針なのだといいます。
関連参照:
「ドローンの時代」
ドローン宅配
漁業被害減少にドローン活用
健康ライフのヒント集
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