2017年5月18日木曜日

味噌汁は「幸せのスープ」

日本が世界でもトップクラスの長寿国になった最大の決め手が、私たちの食習慣にあるのは間違いないでしょう。

外国の研究者が指摘するように、和食には長寿の秘訣がたくさん隠されています。

和食文化が、ユネスコで食の世界文化遺産となったのも、そのような国際的関心の高まりが背景になっているのです。
 
主食は炭水化物を主成分とする米と決まっていて、主菜、副菜、副々菜が季節と連動しながら、次々と変化していくのです。

和食の食膳には季節感が溢れています。

料理を作っている当人が意識しなくても、季節の食材がのっているのが和食の食膳なのです。
 
そして、大豆の活用です。

大豆の三分の一以上はたんぱく質であり、これを上手に利用すれば、コレステロールや脂肪の多い肉をあまり食べなくても健康を維持することができるのです。

それどころか、大豆たんぱく質を中心にする主成分には、腸内で肉のコレステロールが吸収されるのを防ぐ働きさえあるのです。
 
すき焼きに豆腐を入れるのも味がしみて美味になるからだけでなく、結果的には、牛肉の脂肪系が体内に取り込まれるのを防ぐ作用をしていて、日本人の知恵と言っていいでしょう。

ヘルシーな主食のご飯にピッタリと寄り添っているのが「味噌汁」です。
 
大豆を麹菌で発酵させた、調味料の味噌で作った日本独特のスープです。

大豆に含まれる35%のたんぱく貿は、発酵によってほとんどアミノ酸に分解されており、味噌汁は体の健康を高める上で期待できるアミノ酸スープなのです。
 
味噌のアミノ酸の中でも、とくに注目されるのがグルタミン酸とトリプトファンです。

グルタミン酸はご存じのように、化学調味料の原料にもなっているほどのうま味成分です。
味噌汁のうまさのもとになってます。
 
同峙に脳の機能を高め、記憶と関係の深い働きをしているのもグルタミン酸なのです。
脳の老化防止に、味噌汁はそれなりに役に立っているのです。
 
重要なのはトリプトファンで、食べ物からとる必須アミノ酸である「幸せホルモン」と呼ばれる脳内物質のセロトニンの原料でもあります。

多幸感をもたらすのがセロトニンで感情を安定させ落ちこんだ心を励ますと同時に、心をおだやかにする神経伝達物質なのです。
 
ダシのよく利いた湯気の立つおいしい味噌汁をとると、何となく幸せな気分で心が満たされるのも、トリプトファン効果かもしれません。

ダシに使われるカツオ節には、和食食材の中でもトップクラスのトリプトファンが含まれています。
 
味噌汁は日本人にとって「幸せのスープ」なのである。
 
味噌汁作りの上手なお年寄りは、よく「具を3種以上使うと味噌汁がうまくなる」と言い胸を張ってニッコリします。

材科によっては、うま味をもたらすアミノ醵が増えるためで、味噌汁作りのコツを「実の三種は身の楽」とも言ったのです。
 
野菜、海藻、豆腐、油揚げ、魚の切り身、だし、時には豚肉など、昔は具たくさんの味噌汁が多かったのです。

幸せホルモンの原料だけでなく、他のアミノ酸やビタミン、ミネラル、食物繊維などもたくさんとれ、極めて健康効果の高い味噌汁になったのです。

関連参照:
和食の基礎知識



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