2017年5月8日月曜日

AIとの接し方

この3月18、19日、囲碁プログラムの世界選手権「UEC杯コンピュータ囲碁大会」が都内で開かれた模様が新聞などで報道された。

今後のAIとの接し方の参考になるのではないか、というので紹介する。

優勝したのは、中国のIT企業・テンセント社による「絶芸」。

ドワンゴ社などでプロジェクトを組む日本のディープゼンロ、「DeepZenGo」
(Zen)が準優勝した。

両AIは26日に都内で行われた「電聖戦」で日本の若手プロナンバー1・一力遼七段と互
先(ハンディキャップなしの対局)で対戦し、勝利を収めた。

また、同3月21~23日には大阪市で日中韓のトップ棋士とZenが参加したリーグ戦
「ワールド碁チャンピオンシップ」が行われ、Zenは1勝2敗だった。   

AIの碁の特徴は、戦いの骨格を作る序盤で顕著だ。
人間の・常識にとらわれない手法が次々と飛び出すのだ。

典型例が、相手に陣地を先に与えて損とされてきた「四線への肩付き」と言われる手だ。これまで悪手とされてきた手だという。


かつて本因坊などのタイトルを獲得した王九段は
「これまで『ダメだ』といわれていた着手A1が打って見直されるようになった]
という。

とはいえ、見えたのは長所だけではない、という。

「ワールド碁」でZenは、負けの局面で、悪手を連発する欠点を露呈した。
例えば、10手先まで読めるAIは、10手先に必敗の局面があると判断すると、その局面を
11手先、12手先に先送りするためだけの手を続ける傾向にある。

まるで、失敗を認めず、自暴自棄になっているようだ、という。
専門家は「とても賢いが、とてもわがままな子供」に例える。

この傾向はゲームに特有と言い切れるだろうか。
AIが医療や自動運転などで使われるようになった場合にも発生する可能性があるのではないか。

UEC杯の実行委員長を務めた伊藤毅志・電気通信大助教は
「囲碁AIの開発は、こういう弱点への対処法を探す想定実験にもなるし、
『子供のような』AIと人間がどう付き合うかのテストにもなる」という。

囲碁AIは今後、ますます強くなることは間違いない。

人間以上のAIが日常的に存在する世界で、プロ棋士は自分たちの価値をどう示すのか。

プロ制度の維持、人間とAIの共存は可能なのか、という問題もあるかも知れない。

パソコンの検索エンジン、スマートフォンの予測変換など、すでにAIの技術は「日常生
活に入り込んでいる」と専門家は指摘する。

今後、人間に代わって「労働」を行う時代も来るだろう。

そんな時、人間はどう振る舞うべきか。

囲碁AIと棋士との関係を来たるべき社会への実験ととらえた時、展望もみえてくる
のだろう。

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