冬場の寒風にさらして凍らせると、単に水分が抜けるだけでなく、持ち味がぐんと濃縮されて「うま味」も増すのです。
保存性が高くなるのは、いうまでもありません。
凍豆腐(凍り豆腐とも呼ぶ)をはじめ、凍餅、凍コンニャク、凍大根などが知られ、いずれも和食を構成する風土性の豊かな食材です。
豆腐はほとんどが水で、その含有量は87パーセント(木綿豆腐)なのです。
この水分を厳寒期の北風にさらして凍結乾燥させ、味とたんぱく質を濃縮したのが凍り豆腐です。関西では高野豆腐と言います。
この豆腐は、高たんぱく食品で100グラム中に49グラムも含まれています。
同じ大豆加工食品の干し湯葉のたんぱく質は53グラムですから、大豆の仲間では系では二番目に多い。
昔から祝いごとの煮しめ料理には欠かせないし、行事のある日のご馳走にもよく用いられてきました。
味がよくしみて、まるで肉のように美味になるだけでなく、肉を食べなくてもたんぱく質が余るほど摂れて、滋養になったからです。
まさに、凍り豆腐は畑の肉だったのです。それだけではありません。
カルシウムも多い。100グラム中に660ミリグラムも含まれています。
日本人のカルシウム摂取は慢性的に不足していると言われています。
これだけ食品が氾濫し、飽食しているのに、今もってカルシウムか必要な量だけ摂取されていないのです。
大人の一日の必要量は600ミリグラム、実際にとっているのは540ミリグラム前後なのです。
カッとしたり、赤くなって怒ったりすると、心臓によくありません。
頭の血管が切れて脳溢血になる危険性だってあります。
また、怒りは、まわりを不快にします。
だから、怒りたくなったらその前に凍り豆腐を食べるのです。
そうすると心が和んできて、怒りから一転して、自然にニコニコ顔になれるはずなのです。
カルシウムは「食べるトランキライザー(精神安定剤)」とも呼ばれるように、イライラを防いだり、ストレスに強くなるためにも重要な役目を果たしているミネラルなのです。
カルシウム不足によって骨がもろくなっているせいで、骨を丈夫にするためにも凍り豆腐は理想食と言っていいのではないでしょうか。
関連参照:
和食の基礎知識
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