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2016年4月2日土曜日

日本国産で行きたい、ゲノム編集技術。

経済産業省が、遺伝子を自由に切り貼りできる新技術「ゲノム編集」の研究開発の強化に乗り出すことになった、という記事が新聞にでていました。

狙いはなんなのか?どんな事情があるのか?

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今年度から2020年度の5年間で計80億円の予算を投入して日本独自のゲノム編集技術を開発することになった。

植物や微生物の遺伝子を改変して、医薬品や香料の原料などの効率的な大量生産を目指す予定だというのです。

経済産業省がゲノム編集の国産技術の確立を目指す背景には、現在普及している技術の特許の大部分をアメリカが押さえているという危機感がある。

今後、日本企業がゲノム編集技術を使って製品を作ろうとしたした場合、多額の特許使用料の支払いを求められる可能性が高いのです。

政府主導で日本独自のゲノム編集技術を確立できれば、こうした事態は避けられるほか、さまざまな分野で研究開発が進められやすくなるためその意義はたいへん大きいといえます。

また、一方ゲノム編に限らず、遺伝子組み換えなどの遺伝子改変にはその安全性に対する不安も根強いものがあります。

改変した生物などが研究施設外に出ないように対策するのはもちろん、国民の不安に答えるためその積極的な情報開示が求められています。



ゲノム編集技術:
文章を編集するように、遺伝情報を自由自在に書く帰る技術。
DNAを切断する「はさみ」役の酵素と、酵素を切断したい位置に案内する分子を組み合わせて使います。

これまで主に3種類の方法が開発され、
そのうち2013年にアメリカの研究者が発表した「クリスパー・キャス9」は簡便で安価で使えるため世界中の研究室に普及している。効率良く遺伝子を付け足したり、壊したりできるのが特徴だ。

日本でも難病の治療法開発や、作物の品種改良などの研究が進められている。


関連参照
ゲノム編集・遺伝子改変。最近の動き
遺伝子の改変は自粛する
ゲノム編集の凄さ

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2016年2月27日土曜日

ゲノム編集・遺伝子改変。最近の動き

遺伝子改変の最近の動きについて読売新聞が伝えている。
以下要点を整理してみる。
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遺伝子を自由に切り貼りできる新技術「ゲノム編集」の応用が世界中で広がってきている。

難病の治療法の開発や作物の品種改良などが期待される一方、
親か望む外見や能力を持つよう遺伝子を設計しだ赤ちゃん、
いわゆる「デザイナーベビー」の誕生につながるとの懸念もある。

「受精卵のゲノム編集を承認する」。英規制当局は今月1日、英フランシス・クリック研究所のチームの研究計画にゴーサインを出した。

国家レベルの規制機関が、人間の受精卵のゲノム編集を認めたのは世界初だ。
研究の狙いは、受精卵の成長に必要な遺伝子を調べること。

将来、不妊治療の改良につながる可能性もある。受精卵のゲノムを編集して、受精7日後までの成長の過程を詳しく調べ、その後廃棄する。
研究所の倫理委員会で承認されれば、数か月以内に実験が始まる見込みだという。

英当局は、この受精卵を女性の子宮に移植し、赤ちゃんを作ることは禁じた。もし赤ちゃんか生まれると、全身の遺伝子が改変遺伝子になるうえ、この赤ちゃんが子供をつくった時に、子孫にも引き継がれる。

特定の外見や能力を持つ「デザイナーペビー」につながる心配もある。安全性や倫理面の検討はまだ済んでおらず、禁止は当然だ。

1998年に日本で公開された米映画「ガタカ」は、遺伝子操作で生まれつき優れた知能や体力を持つ人間か優遇される社会を描いた。自然な状態の人間は「不適正者」とのレッテルを貼られ、職業選択などで差別される。このような未来は想像したくないものだ。

受精卵のゲノム編集が注目されたのは、2015年4月、中国の中山大学のチームが発表した論文がきっかけだった。

赤ちゃんには育たない変異をもつ受精卵86個を使ってゲノム編集し、うち4個で遺伝子改変に成功したというのだ。

科学者らは2015年12月アメリカ・ワシントンで国際会議「ゲノム編集サミット」を開催し、3日間の議論の末、「受精卵を改変して子供を作るのは無責任」との声明を出した。


いろいろな懸念

だが、「禁止」には踏み込んでいない。
基礎研究については、むしろ推進の方向性が示された。
サミットに参加した高橋智・筑波大教授は、「重い遺伝病の根本治療につながる期待もあり、患者とその家族に配慮した結果だ」と明かしている。

日本では、遺伝子を改変した受精卵から子供を作ることを国の指針が禁じているが、強制力はない。
基礎研究には規定すらない、という。

サミットに出席した石井哲也・北海道大教授(生命倫理)は、
「日本はゲノム編集の規制の議論が遅れている。幅広い分野の専門家や一般の国民を交えた議論が必要だ」と指摘する。
    
作物や家畜の品種改良への応用も進むんでいる。
筑波大の洽薗浩教授は、ゲノム編集で、腐りにくいトマとを作った。京都大の木下政人助教らは、マダイの遺伝子を編集し、筋肉が増えて身を大きくすることに成功している。プタや牛の肉の量を増やす試みもある。
 
ただ、ゲノム編集では、遺伝子を改変した痕跡が残らない場合がある。
自然に起きる突然更異と見分けが付かず、食品としての扱い方に課題が浮上している。
 
もうひとつの懸念は、ゲノム編集技術の主な特許を米国勢がおさえていることだ。

産業化が進めば、多額の特許料の支払いを求められかねない。
このため国は、国産技術の開発を支援している。
  
ゲノム編集に詳しい広島大の山本卓教授(ゲノム生物学)は、「研究で勝っても、産業化された場合に利益が海外に流れるようでは意味かない。国はゲノム編集の国家戦略を作るべきだ」と話している。

医療や農業、食品分野など社会への大きな影響力を秘めたゲノム編集だが、支援と規制のあり方を総合的に考えていく必要がある。


関連参照
遺伝子の改変は自粛する
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2015年12月25日金曜日

遺伝子の改変は自粛する

ゲノム編集に関する国際会議について。
12/13の読売新聞の報道から。

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遺伝子を効率よく改変する「ゲノム編集」と呼ばれる技術の発展を受け、米中欧の研究者らが参加した国際会議が2015年12月初め、ワシントンで開かれ、倫理問題を中心に議論した。

「遺伝子を改変した受精卵で子供を作ることは、
安全性の議論などが不十分であり無責任だ」

として自粛を求める声明を発表した。


一方、基礎研究レベルでの受精卵の遺伝子改変は倫理的な問題などを十分に検討した上で、妊娠につなげないことを条件に認めた。


ゲノム編集は、これまでの組み換え技術よりも遺伝子を狙い通りに改変できる。

すでに、エイズなどの治療で臨床応用が始まっている。

一方、受精卵の遺伝子を改変した場合、影響が世代を超えて広がることから懸念が高まっていた。


生殖目的での利用についての「声明」は、

①遺伝子改変か環境などとの相互作用で逆に悪く作用する恐れがある
②改変遣伝子が人類集団に広まったら取り除くことが難しい
③能力改善に使われるとしたら社会的な不平等を広げる可能性がある

などの課題は指摘している。


また、生殖目的ではなく影響が次世代に伝わらない臨床応用は、患者の治療効果やリスクなどを踏まえて実施していく方向である。


関連参照:
ゲノム編集の凄さ-1
ゲノム編集の凄さ-2

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2015年8月1日土曜日

ゲノム編集の凄さ-2

ゲノム編集の「ゲノム」とは、生物が持つ全ての遺伝情報のこと。

細胞内のDNA(デオキシリボ核酸)に4種類の「塩基」という化学物質が並ぶ形で書き込まれている。

塩基が「文字」、DNAが「文章」にあたると考えればやわかりやすいかもしれない。

では、ゲノムはどのような仕組みで「編集される」のか?

細長いひものようなDNAを切る「はさみ役」の酵素と、切りたい部分に酵素を導く「案内役」の分子を組み合わせた物質で行うのだという。


DNAを切断した場所に別の塩基が挟まれることで、
遺伝子を壊したり、新しい遺伝子を追加したりできるのだ。



これまでの遺伝子組み替えなどとの違いは農作物や家畜を交配させたり、放射線やウイルスを使ったりして、遺伝子を変えるのが遺伝子組み換えで、交配は何回も行う必要があり時間がかかった。

また、放射線やウイルスを使う方法では、多くの細胞から狙った変化が偶然起きたものを選ぶという方法のため効率が悪かった。


ところがゲノム編集では、ピンポイントで狙いを定め、偶然に頼るという部分が大幅に減るのだ。


ただ、この技術の特許の大半は米国勢がおさえているとされます。

日本がゲノム編集を利用してビジネスに乗り出す際、多額の特許料の支払いを求められるおそれがあるというのだ。


ゲノム編集の凄さ-1


関連参照:
スポーツと栄養と
40歳の不都合な真実 
焦げ・枯れ・錆びと老化
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2015年7月31日金曜日

ゲノム編集の凄さ

生命の設計図である遺伝子を自在に切り貼りできる「ゲノム編集」というバイオ技術の研究が、急速に進んでいる。

昨日のNHK「クローズアップ現代」でも取り上げられていた。

農作物や家畜の品種改良から人の難病治療まで、幅広く使える「夢の技術」との期待が膨らんでいる。

その一方で、生命倫理や安全性についての議論が追いついていないと、現状を懸念する声も強まっている。

 
   
期待難病治療

ゲノム編集は、文章を編集するように、遺伝子の一部を自在に切り貼りする技術なのだ。

狙い通りに遺伝子を壊したり、付け足したりできるといいます。1990年代半ばに米国で開発されました。

特殊な酵素を使うことで、これまでの遺伝子組み替え技術よりも、はるかに効率良く遺伝子を変えられるのが特徴だ。

2013年には、優れた酵素が発表されて、一気に普及し始めた。
 

まず、期待されているのは難病の治療法の研究だ。

ゲノム編集の利用について研究する鳥取大の久郷裕之・染色体工学研究センター長は

「医学分野では重要なツールになる」と指摘している。


また、京都大の堀田秋津助教らは、全身の筋肉が衰える難病「筋ジストロフィー」の治療法の研究を進めている。

筋ジス患者の皮膚からiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作り、遺伝子の異常をゲノム編集で修復するのだ。

「この技術を筋ジスの治療につなげたい」という。
 
米国では、エイズウイルス感染者への臨床試験も始まっている。NHKの放送したのもエイズ患者の例だった。

感染者からとった正常な免疫細胞を、ゲノム編集で、ウイルスが感染しにくいように改変する。
その細胞を増やして、感染者に投与し快方に向かっている。


心配「デザイナー・ベビー」への危惧

だが、医療分野への利用に、一定の歯止めが必要だ、との声もある。
そのうち最も危惧されているのは、人間の受精卵を研究対象とするケースだ。

「頭が良い」「病気に強い」などの遺伝的な特質を人為的に持たせた「デザイナーペビー」を生み出しかねない、というのだ。

生命倫理の点で問題があると、米国のノーベル賞受賞者らは3月、米科学誌サイエンスで、「オープンな議論が必要だ」と訴えた。 

これを無視する形で、中国の研究チームはこの4月、
「ゲノム編集で人間の受精卵の遺伝子を改変した」とする論文を発表した。

論文では、「狙い通りにいかず、技術はまだ不完全。胎児に成長する能力がない受精卵を使っており、倫理的問題はない」と主張した。だが、世界の研究者に波紋を広げた。


ゲノム編集によるエイズウイルス感染者の臨床試験を進める米バイオ企業の社長は

「受精卵の遺伝子改変は子孫に受け継がれるので、倫理面や安全面で問題か大きい」

と語る。


米ホワイトハウスは5月26日、
「現段階では受精卵の遺伝子改変を行うべきでない」という見解を発表した。

日本政府は、ゲノム編集に限らず、受精卵や精子、卵子の遺伝子を変えて赤ちゃんを誕生させることを、研究指針で禁じている。

だか、母胎に戻さなければ、受精卵を使う実験は規制していない。

ゲノム編集で受精卵を操作することについて、文部科学省生命倫理・安全対策室は「重要な問題。動向を注視する」と述べている。
 


ゲノム編集の研究は、農作物や家畜の品種改良などでも進んでいる。
 
筑波大の江面浩教授(植物分子育種学)は、ゲノム編集で『腐りにくいトマト』を作ろうとしている。
既に薬品を使って腐りにくいトマトを作っているが、10年かかった。

これがゲノム編集を使うと、このトマトと同じ遺伝子を持つ苗を、わすか1年足らずでできたという。
 
京都大の木下政人助教(水産学)らは昨年、マダイの筋肉の成長を抑える遺伝子を壊し、身を大きくすることに成功した。米国では、同じ原理で肉の多い牛を作る研究が進んでいる。


ただ、国立医薬品食品衛生研究所では「食品としての安全性は未確認だ」としている。

人為的に遺伝子を組み換えた生物が自然界に漏れると、生態系に悪影響を与える可能性がある。

それを規制する国際ルール「カルタヘナ議定書」がある。

環境省野生生物課は
「ゲノム編集で作った生物は想定外で、議定書で取り扱いが決まっていない。研究の動向を注視する必要がある]と話している。


ゲノム編集の凄さ-2


関連参照:
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