脂肪と聞いただけで
眉をひそめる方が多いのではないでしょうか。
低脂肪・低カロリーばかりが叫ばれる今日、
「健康とは相反するもの」という認識すらあるかもしれまぜん。
しかし、何かと悪名高きこの栄養素も、
人間にとってはなくてはならない存在なのです。
スポーツ界でも、「アスリートの食事は高タンパク低脂肪」というのが合言葉のようになっていますが、安易な高タンパク食は体に負担をかけます。
そして脂肪の場合は、その「種類」が大きなポイントとなります。
確かに脂肪をとりすぎないことは大切ですが、どんな脂肪を選択するかでその人の健康状態はまったく違ったものになってしまうのです。
脂肪には大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二つがあり、飽和脂肪酸は牛肉や豚肉、乳製品など動物性の脂肪に多く含まれています。
不飽和脂肪酸はさらに、
・オメガ3系不飽和脂肪酸(以下オメガ3)と
・オメガ6系不飽和脂肪酸(以下オメガ6)という
主な2種類に分類できます。
オメガ3には、サケやイワシなどの魚油に多いエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)、フラックスオイル(亜麻仁油)やシソ油に多いα‐リノレン酸があります。
α‐リノレン酸は体内でEPAやDHAに変化します。
一方、オメガ6にはコーン油やゴマ油、マヨネーズなど、一般的な植物油の主成分であるリノール酸や、動物性の脂肪に飽和脂肪酸とは別に合まれるアラキドン酸が該当します。
リノール酸は体内で主にアラキドン酸に変化します。
飽和脂肪酸は体内で合成できるため、食事からとる必要は必ずしもありません。
むしろ、とりすぎによる弊害のほうが指摘されるくらいです。
牛や豚の体温は人間より高いため、これらの動物の脂肪は融点が高い、つまり高温にならないと溶けないのが特徴です。
こんなに固まりやすい脂肪を体温の低い人間がとりすぎれば、血管や血液に悪影響を及ぼすのは容易に想像できるでしょう。
一方、オメガ3とオメガ6は、どちらも私たちの体内では作り出されないことから、食事などを通して外から補う必要がある必須脂肪酸です。
そして、この二つの必須脂肪酸が全く正反対の性格を持っているということが、大きな特徴であると同時に、注意しなければならない点です。
まず、どちらも細胞膜の材料になることは共通しています。
オメガ3はEPA・DHAの形で、オメガ6はアラキドン酸の形で細胞膜を構成しますが、
・オメガ3の比率が高いと細胞膜の柔軟性を高めるのに対し、
・オメガ6のほうが多いと細胞膜を硬くすることが明らかになっています。
細胞は全身に60兆個も存在するわけですから、細胞膜の性質が私たちの体に及ぼす影響は計り知れません。
細胞膜は、栄養素の取り込みや老廃物の排出、細菌やウィルスの侵入防止、細胞同士の情報伝達など、私たちが生きていくうえで基礎となる言要な役割を果たしています。
筋肉や血管、心臓はそのしなやかさが鍵となり、
これらが正常に機能するかどうかは細胞膜の柔軟性にかかっているといっても過言ではありません。
また、脳や目での適切な情報伝達においても、それぞれの細胞膜を正常に機能させる上で
オメガ3とオメガ6のバランスは非常に大切です。
注意すべき点のもうひとつは、エイコサノイドとしての働きです。
エイコサノイドとはオメガ3のEPAとオメガ6のアラキドン酸からそれぞれつくられ、ホルモンのようにさまざまな体内機能の調節を担う物質で、局所ホルモンと呼ばれることもあります。
オメガ3とオメガ6はここでも相反する作用があり、
・例えば出血が起こるとアラキドン酸由来のエイコサノイドが増えて血液を固めようとするのに対し、
・血栓ができそうになるとEPA由来のエイコサノイドが作り出されて血液を流れやすい状態にします。
また、アラキドン酸由来のエイコサノイドは
・炎症を増大させる働きがあるのに対し、
EPA由来のエイコサノイドは
・炎症を最小限にとどめる効果があります。
関連参照:
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