それでもまだ現在のAIは、意識を持って自発的に考えているわけではありません。
そんな中、コンピューターに「人工意識」を持だせようという野心的な試みが、東京のベンチャー企業や大阪大などで始まっている。
AIの研究は進んできましたが、基本的にはまだ、人間の命令に従って計算をしたり、データベースを検索したりしているだけだといいます。
漫画やアニメでおなじみの「ドラえもん」や「鉄腕アトム」などのような、あらゆる作業をこなす知能ロボットをつくるには、人工意識の開発が不可欠だというのです。
だが、そもそも「意識とは何か」がよくわかっていないのです。
意識の有無やそのレベルを客観的に判別する方法も標準化されておらず、
これまで人工意識の研究はあまり進んでいなかったのです。
それでも最近は、脳に与えた刺激の広がり方を調ぺるなどして、意識レベルの数値化を試みる理論も登場してきている。
こうした新たな研究成果を応用しながら、人工意識を開発するプロジェクトが、昨年10月から国内で始まったのです。
プロジェクトの代表は元・英サセックス大准教授で、脳科学の産業応用を目指すベンチャー「アラヤーブレインーイメージング」(東京都)の金井良太CEO(最高経営責任者)が務め、大阪大や国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府)、理化学研究所などが参加、文部科学省所管の科学技術振興機構が5年半で約3億円の研究費を投じる。
人工意識の開発が実現すれば、巡回ルートを自分の判断で選んで進む警備ロボットや、買い物客の気持ちを推察しながら商品を案内する店員ロボットなどの開発につながるという。
人間に近い感性を持ったロボットや自然な自動翻訳ソフト、車の自動運転システムなどにも応用できる。
ATRは既に、あちこちにセンサーが付いた家を建て、メガネに付属したカメラで蛇口を撮影すると水が出たり、カーテンを撮影すると開け閉めができたりするシステムを開発中だ。
川鍋一晃・ATR主幹研究員は、「この家が人工意識を持てば、人間の気持ちを読み取って、手助けをしてくれるようになるはずだ」と話している。
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