2017年12月15日金曜日

ドローンの農業分野への動き


農薬や肥料の散布。野菜などの生育状況の観察など小規模農家への売り込みも活発になってきている。

三菱商事と日立製作所が昨年設立したベンチャー企業‐「スカイマテイクス」(東京)が開発した最新の農業用ドローン。

直径2メートルのドローンが夕マネギ畑の上空を飛び回り農薬の代わりに水をまいていく。

手元のコントロ上フーの画面には、飛行位置や農薬の散布場所などが瞬時に示される。

同社が10月25日、福島県郡山市の農場で、農薬散布の実演を報道関係者に公開し
「機体の安定性には自信がある」と説明した。

農業用ドローンは、機体下部に農薬や肥料を詰めるタンクを備える。
農家が背負うタイプの噴霧装置だと1ヘクタールの散布に丸1日を要するのが、これをドローンでやるとだと10分ほどで済んでしまう。

調査会社のシードープランニング(東京)によると、
このドローンの市場は、「有望な市場」でさまざまな業界の参入が相次いでいるという。

農薬散布用ドローンの市場規模は、2016年の12億円から22年年には200億円に拡大する見通しだ。

住友商事などが出資するペンチャー企業「ナイルワークス」(東京)のドローンは、
水田のイネの生育状況をカメラで撮影・観察しながら、農薬や肥料をまくことができる。

18年5月から試験販売する予定で、同社の社長は「農業を若者が魅力を感じる最先端産業にする」と意気込んでいる。

今年7月に販売を始めたクボタは、ドローンが撮影した農作物の生育状況などのデータを解析し、人工知能(AI)で自動運転のトラクターに作業の指示を出すシステムの構築を目指す。

一方で普及に向けた課題もある。

農林水産省の運用指針では、農薬散布用のドローンを使用する場合、操作する人の他に、補助員が現場に立ち合い、畑を外れて農薬を散布することがないか、チェックする必要があるのだ。

現状では、ボタン一つで自動的に散布する完全な自動化は認められていないのだ。

これが、「高齢の農家らがドローンに二の足を踏む理由の一つ」との声も出ている。

農水省は年明けにも開く有識者会議で安全性の確保などについて議論し、
今年度中に完全自動化を認めるかどうかの結論を出す方針なのだといいます。



関連参照
「ドローンの時代」
ドローン宅配
漁業被害減少にドローン活用

健康ライフのヒント集
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2017年12月10日日曜日

子どもを巻き込む「夜ふかし文化」


日本では戦後の高度経済成長期以降、夜遅くまで働く労働環境が定着し、人々のライフスタイルは「朝から夕方まで」から、「昼から夜へ」型にシフトしました。

とくに、バブル崩壊以降、季節や昼夜に関係なく消費活動を促進するために大人の労働環境はますます厳しさを増しており、健康的な唾眠を確保しにくい状況にあります。

当然、そうした大人のもとで育つ子どもも、睡眠時間が奪われる格好となっています。

幼い子ともの遅寝の理由はさまざまですが、父親が夜遅くに仕事から帰ってきて、物音がするので子どもか起きてしまい、父親の夕食につきあってそのまま夜中まで大興奮ということもあるでしょう。

共働き世帯、一人親世帯では子どもの就寝時刻は遅くなりがちです。
 
労働環境の変化に加えてライスタイルの個人化に伴う旺盛な消費行動や、ストレスも夜型生活を助長していきました。

24時問営業のコンビニやゲームセンター、ネットカフェ、飲食店では、強くてまぶしい直接照明が夜の街を明るく照らしています。

深夜、コンビニや量販店で、こんなにも街に幼児がいるのかと思うほど親子をよくみかけ
るし、週末の夜の街には中学生や高校生があふれ、眠らない夜を過ごす者も増えている
と報道されています。

外はまぷしいけれど、家の中は暗くて静かというならまだいいでしょう。

しかし、いまは家庭でもテレビ、DVD、インターネット、スマートフォンなどのマルチメディアが浸透し、24時問休むことなく利用可能な「人工的白夜」を作りだしています。
 
こうしたことの結果、乳幼児が夜遅くまでテレビやDVDをみたり、若者が夜ふけまで友だちとメールを交換したり、マンガを読んだり、ネットゲームに夢中になったりして、「自分の世界」を楽しんでいます。

2013年8月、厚生労働省研究班が発表した全国の中高生のネット使用実態に関する調査
で、「病的な使用」、いわゆる「ネット依存」が強く疑われる生徒が8.1%にのぽることが判明し、専門家からはこれに伴う健康への悪影響か指摘されました。

ネット依存がもとで睡眠障害に陥り、病院を訪れる子供が急増しています。

印象的なのは、「スマホから逃れるために学校にかくまってほしい」と訴える子供が
いると、ある高校の校長先生が話してくれたことです。

授業中や部活中なら通信不可、との大義名分が立つからです。

ネット利用に伴う睡眠障害の増加は降ってわいた新現象というよりも、テレビの登場に始まる夜型生活の現象というべきでしょうか。

今後もこうした現象は次々とあらわれてくるでしょうし、その度に新たな睡眠障害の子だちが生まれてくるだろうと考えられています。
 
家での娯楽がほぼラジオに限定されていた時代と違って、今はもっと脳を刺激し、興奮させてくれるようなものであふれています。

祖父母の世代が青春時代にその面白さを覚えてしまった夜型生活は、皮肉にも着実に次世代へと受け継がれ、とくにここ10年ほどのマルチメディアの急速な進展によって、もはや止められないところまで進行しているのではないでしょうか。

大人たちの労働環境の変化、それに伴う消費・娯楽文化の浸透が子どもを巻き込んでいたのです。

2017年11月30日木曜日

和食ブームでコメの輸出のチャンス到来

最近、世界におけるコメの取引量が増えています。

なかでも日本で生産されているジャポニカ米は、日本食レストランの普及とともに、その需要も高まってきています。

農林水産省の調査によると、世界における日本食レストランの店舗数は、2015年7月時点で8万9000店です。

これは2013年1月時点の1.6倍当たります。

アジアでも同様で、2015年7月時点で4万530店となり、これは2013年1月時点の1.7倍と急増しています。
 
では、なぜ日本食の人気が高まっているのか。

その理由には、世界的に日本食がヘルシーな食事として認知されてきていることがあります。

加えて「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことも少なからず影響しています。

さらに、日本食に欠かせないコメそのものが、昔よりもうまくなったことが挙げられるのです。

日本人にとってみれば意外かもしれませんが、実は日本産米は、これまで海外での評価は
芳しくなかったのです。

国内の農家はみな、「日本産米こそ世界一おいしい」と思っていますが、これは正しい認識ではないのです。

海外の評価が低かったのは、日本で精米してから現地で消費されるまでに時間が経ってし
まっていたためです。

コメは生鮮食品である以上、時間とともに品質が悪くなるのは当然のことといえます。
 
ただ、最近になってこの問題も解消されるようになりました。

国内最大手の農機メーカーであるクボタが、海外で精米するようになったからです。

これまで香港、シンガポール、モンゴルに子会社を設立し、日本の企業としては初めて、
現地で精米する事業に乗り出しているのです。

子会社では、日本から届いた玄米を低温で貯蔵し、現地の日本食レストランやスーパーからの注文に応じて精米しているのです。ですから、鮮度の良さにかけてはいうことがありません。

この事業に真っ先に参加したのが、クボタのディーラーとして新潟市に拠点を置く新潟クボタ。

同社は2011年から香港、シンガポールとモンゴルにも日本産米を届けているのです。

その輸出実績は2012年に55トンだったのが、2015年には652トンに達した。2016年の目標は1475トン。

同社の社長が抱えるのは、日本のコメに対する切迫した危機感だった。

国内人口が減るなか、コメの消費はますます減っていくのは必至という状況。

同社の社長は、語気を強めて、
「だったら外に向かうしかない。狙うべきはアジア。日本経済全体がアジアの需要を取り込まない限り成長はない」

ということで、輸出のチャンスは広がってきたのです。

「loT」の後押しを受けて、日本のコメは、いま黎明期を迎えつつあるようです。


関連参照:
和食の基本知識


2017年11月11日土曜日

夜ふかし・遅寝の生活習慣

夜ふかし・遅寝の生活習慣は、小学校、中学校、高校と、学校年度が上げる毎に常態化していきます。

2010年にベネッセ教育総合研究所が公表した「第2回子ども生活実態基本調査報告書」(対象は小学校4年生から高校2年生までの児童・生徒1万3797名)によると、

・小学生では63・7%が夜10時以降に就寝し、
・中学生では34・o%が午前o叶以降に眠り、
・高校生では何と21・5%が午前1時以降も起きていました。

同級生か好きなアイドルのでているテレビをみているから自分も起きてみているとか、
塾の先生から勉強は昼間より夜中や早朝の方がはかどるぞなどと言われてそれを「実践」
している等と言われています。

最近とくに活発なクラブ活動、お稽占、塾通いの後、レポートの提出、テスト勉強、受験勉強で遅くまで頑張っているのだと思われます。

日本の小学校から高校までの児童・生徒は、寝る間を惜しんで学内外のノルマをこなし、
その後さらに自由な時間を享受しているようです。

一方で、子供の起床時間は、
・中学生「7時頃から7時半ごろ」が、
・高校生で「6時頃から6時30分ごろ」がもっとも多く、

この起床叶刻は早まる傾向にあります。

起床時刻は昔と比べて早くなっているのに、就寝時刻だけか遅くなっている。

ということは、今や多くの子供か睡眠不足を慢性化させたまま学校社会に適応する無茶な生活を送りっづけていることになります。

「子どもの自由」と言ってしまえばそれまでです。

でも、それが知らず知らずのうちに大切なわが子の健康や知性、情緒を蝕んでいるとしたら?

果たしてそう言いきれるでしょうか。


関連参照:





2017年10月20日金曜日

最強AI「アルファ碁ゼロ」



米グーグル傘下の英グーグル、ディープマインド社は、囲碁の世界トップ棋士を次々と破った人工知能の「アルファ碁」を上回る最強AI「アルファ碁ゼロ」を開発したことを明らかにした。

AIのプログラムを改善し、従来のアルファ碁と違ってプロ棋士らの対戦データ(棋譜)を一切学ばず、自分対自分の対局を繰り返して打ち方を独学した。

わずか3日間の学習従来のアルファ碁に100戦全勝したのだ。

従来のアルファ碁は、10万局以上のプロ棋士らの棋譜などを学んだ上で、自己対局を繰り返して勝率の高い手を学習した。

・昨年3月には、世界のトップクラスの強豪、韓国のノセドル九段に圧勝している。

・また、アルファ碁の改良版は今年5月、世界最強と称される中国人棋士、柯潔九段を3戦全勝で退けているのだった。


ディープマインド社は「ゼロ」を開発するにあたり、従来のアルファ碁では別々だったネットワークを統合するなど、自己対局のみで効率的に学べる新技術を導入した。

囲碁のルール以外は一切教えず、3日間で自己対局を重ねた結果、「アルファ碁ゼロ」は李九段を倒した当時のあのアルファ碁に100戦全勝で一蹴したのだった。


ディープマインド社のチームは

「この技術は、人間の知識の限界に制約されず、従来のアルファ碁より強力」

と述べている。


日本の囲碁現役プロ棋士・大橋拓文六段は

「ゼロの棋譜は、改良版の棋譜と非常に近いものを感じる。それでもゼロの方が強いということは、人間の知恵が足を引っ張っている可能性があると考えられ、悲しさを覚える

と話している。

膨大な選択肢の中から最も有効な手を見いだすAI技術を開発してきたディープマインド社。

これまでも医療分野での画像解析や電力消費量の最小化などの研究にも取り組んできている。

同社の研究チームは、この技術の応用が期待される分野として、

・創薬に役立つたんぱく質の構造解析、
・新素材の開発、
・省エネ研究

などを挙げている、という。


関連参照:



2017年10月10日火曜日

低脂肪の食品が内臓を休ませる


脂肪分の多い食事というのは、消化吸収に時間がかかります。

脂がたっぶりのった霜降りのサーロインステーキの消化吸収には、約4時間を要します。

バターはさらに消化に吟間がかかり、およそ12時間も必要とされています。

そのほか、うなぎや天ぷらも、消化にステーキと同等かそれ以上の時間がかかります。


反対に、脂防分の少ない低脂肪のものは、消化吸収が速やかに行われます。

卵や果物などは30分~2時間程度で消化するほか、「煮る・蒸す・ゆでる」の調理工夫で、消化を高めることができます。おかゆはその代表です。

このように、低脂防のもの、消化のいいものを食べることは、消化吸収に使われるエ
ネルギーが少なくて済むので、内臓を休ませることにつながります。

睡眠中であっても、内臓は前日に食べたものを消化するために活動を続けています。


もし寝る少し前まで何かを食べている、それも脂肪分の高いものや、量をたくさん食べてしまっているとしたら、寝ている間中、ずっと内臓は食べ物を消化するためにフル稼働しなければなりません。

これでは芯からからだを休めることはできません。

「からだを休める」ということは、睡眠時間が長いからといって充足するのではありません。内臓や神経なども含めた、からだ全体を休ませることか十分な休養なのです。
 
病気のときにおなかにやさしいおかゆや胃に負担の少ないペースト状になったものを
すすめられるのは、消化スピードの速いもので、質のいい休養をしっかりとるためでも
あります。

スポーツ選手の場合も同じで、かなりハードな練習をしたときほど高カロリーな食事をしたがりますが、遅い時間の食事の場合は、低脂肪なものにするようにします。

十分な休養がとれてこそ、翌日の練習の質が上がるのです。
 
低脂防というと、ダイエット目的ばかりが注目されますが、このように「しっかり休む」ためにも重要なのです。

関連参照:
和食の基礎知識






2017年9月10日日曜日

発酵食品文化の国

最初に日本の土を踏んだキリスト教の宣教師フランシスコ・ザビエルが、本国に宛てて出した手紙に、

「肉を食べず、殆んど米麦飯のみを食べる」

としながらも、

「それでいて日本人は不思議なほど達者で、高齢に達する者もいる。
したがって空腹が満足しなくても、人間は僅少な食物でも十分な健康を保てることは、日本の場合でも明らかである」

というものでした。


実際に日本人は長い間、米、麦、雑穀などを主食に、季節の野菜、魚介類を食べるという食生活をしてきました。

肉や牛乳、乳製品を食べる国の人から見れば「粗食」と思えただろうし、元気な姿を不思議に感じたのも当然かもしれません。
 
しかし、ザビエルは、日本食のもう一つの大きな特徴が見抜けなかった、ということでもある。

でも、それも仕方がないことかもしれない。

実際に肉眼では見えない、小さな小さな「生き物」に気づかなかったのです。

それは「微生物」であり、これを利用した豊富な「醗酵食品」である。
 
日本は気温、湿度が微生物の発育に適しているため、古くからたくさんの醗酵食品を利用してきました。

その種類の豊富さは世界一と言われています。

それらの微生物を大きく分類すると、カビ、酵母、細菌の3種類に分けることができます。

とくにカビは湿気を好むため、日本では他の国では例を見ないほど上手に利用してきました。

カビにもたくさんの種類がありますが、その中でも麹カビを利用した食品は多い。

日本酒、米酢、みそ、みりん、甘酒、醤油、焼酎、鰹節などです。

日本食は「麹カビ食文化」といわれるほどなのです。
 
酵母は、糟を分解してアルコールと炭酸ガスと水で作るものがほとんどです。

そのため、日本酒、みそ、醤油など醸造食品と呼ばれるもののほとんどに利用されています。
 
細菌の中で、醗酵食品に利用されてきたものとして、乳酸菌や酢酸菌などがあります。

こうした微生物は、それぞれ特色のある性質を備えており、醗酵食品の種類によって、活躍する微生物の種類が決まってくるのです。

例えば納豆は納豆菌、ビールはビール酵母などです。

それに比べ、日本酒の場合は、米麹を作る段階で麹カビ、もと造りの段階で硝酸還元細菌、球状乳酸菌、桿状乳酸菌が出てきて、酒造りの主役にはサッカロミセス・サケと呼ばれる酵母が利用されます。

つまり、日本酒の醗酵には少なくとも5種類の微生物が働き、しかもそれ以外の菌に活躍の機会を与えないように仕組んでいるのです。
 
それを長い間の経験から、それぞれの醗酵食品によって、食塩を加えたり、酸を加えたり、温度や湿度を調整したりすることによって、必要な菌の成育を促し、上手に醗酵させてきたのです。

しかも、すごいことに微生物の存在が分からない時代からそれらを経験的に行ってきたのです。

関連参照:
和食の基礎知識