2016年2月27日土曜日

ゲノム編集・遺伝子改変。最近の動き

遺伝子改変の最近の動きについて読売新聞が伝えている。
以下要点を整理してみる。
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遺伝子を自由に切り貼りできる新技術「ゲノム編集」の応用が世界中で広がってきている。

難病の治療法の開発や作物の品種改良などが期待される一方、
親か望む外見や能力を持つよう遺伝子を設計しだ赤ちゃん、
いわゆる「デザイナーベビー」の誕生につながるとの懸念もある。

「受精卵のゲノム編集を承認する」。英規制当局は今月1日、英フランシス・クリック研究所のチームの研究計画にゴーサインを出した。

国家レベルの規制機関が、人間の受精卵のゲノム編集を認めたのは世界初だ。
研究の狙いは、受精卵の成長に必要な遺伝子を調べること。

将来、不妊治療の改良につながる可能性もある。受精卵のゲノムを編集して、受精7日後までの成長の過程を詳しく調べ、その後廃棄する。
研究所の倫理委員会で承認されれば、数か月以内に実験が始まる見込みだという。

英当局は、この受精卵を女性の子宮に移植し、赤ちゃんを作ることは禁じた。もし赤ちゃんか生まれると、全身の遺伝子が改変遺伝子になるうえ、この赤ちゃんが子供をつくった時に、子孫にも引き継がれる。

特定の外見や能力を持つ「デザイナーペビー」につながる心配もある。安全性や倫理面の検討はまだ済んでおらず、禁止は当然だ。

1998年に日本で公開された米映画「ガタカ」は、遺伝子操作で生まれつき優れた知能や体力を持つ人間か優遇される社会を描いた。自然な状態の人間は「不適正者」とのレッテルを貼られ、職業選択などで差別される。このような未来は想像したくないものだ。

受精卵のゲノム編集が注目されたのは、2015年4月、中国の中山大学のチームが発表した論文がきっかけだった。

赤ちゃんには育たない変異をもつ受精卵86個を使ってゲノム編集し、うち4個で遺伝子改変に成功したというのだ。

科学者らは2015年12月アメリカ・ワシントンで国際会議「ゲノム編集サミット」を開催し、3日間の議論の末、「受精卵を改変して子供を作るのは無責任」との声明を出した。


いろいろな懸念

だが、「禁止」には踏み込んでいない。
基礎研究については、むしろ推進の方向性が示された。
サミットに参加した高橋智・筑波大教授は、「重い遺伝病の根本治療につながる期待もあり、患者とその家族に配慮した結果だ」と明かしている。

日本では、遺伝子を改変した受精卵から子供を作ることを国の指針が禁じているが、強制力はない。
基礎研究には規定すらない、という。

サミットに出席した石井哲也・北海道大教授(生命倫理)は、
「日本はゲノム編集の規制の議論が遅れている。幅広い分野の専門家や一般の国民を交えた議論が必要だ」と指摘する。
    
作物や家畜の品種改良への応用も進むんでいる。
筑波大の洽薗浩教授は、ゲノム編集で、腐りにくいトマとを作った。京都大の木下政人助教らは、マダイの遺伝子を編集し、筋肉が増えて身を大きくすることに成功している。プタや牛の肉の量を増やす試みもある。
 
ただ、ゲノム編集では、遺伝子を改変した痕跡が残らない場合がある。
自然に起きる突然更異と見分けが付かず、食品としての扱い方に課題が浮上している。
 
もうひとつの懸念は、ゲノム編集技術の主な特許を米国勢がおさえていることだ。

産業化が進めば、多額の特許料の支払いを求められかねない。
このため国は、国産技術の開発を支援している。
  
ゲノム編集に詳しい広島大の山本卓教授(ゲノム生物学)は、「研究で勝っても、産業化された場合に利益が海外に流れるようでは意味かない。国はゲノム編集の国家戦略を作るべきだ」と話している。

医療や農業、食品分野など社会への大きな影響力を秘めたゲノム編集だが、支援と規制のあり方を総合的に考えていく必要がある。


関連参照
遺伝子の改変は自粛する
ゲノム編集の凄さ

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2016年2月25日木曜日

ドローン宅配、実験。


国土交通省は2月24日ドローンを活用した初の生活物資輸送実験を徳島県那賀町でおこなった。

ドローンを使った日用品や食品の宅配サービスの実用化に向けた課題を洗い出すという。

実験自体は、ドローンによる買い物代行サービスを計画している事業者と共同で実施。

高度50メートル程度の上空を飛行して、約500メートル離れた畑に着陸、プラスチックケースに入れたパンや牛乳など1人分の朝食を届けた。飛行中や着陸時の荷物に与える衝撃も測定した。

ドローンによる宅配サービスは過疎地で日常の買い物に困っている高齢者らの支援策として実現が期待されている。

その一方、私有地、道路上空を飛ぶ場合や墜落などの事故に備えたルールはまだ、未整備のため、政府はさらに検討を進めるという。


関連参照
「ドローンの時代」

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2016年2月18日木曜日

ジカ熱の感染防ぐには



中南米で流行しているジカウイルス感染症(ジカ熱)。

感染した妊婦から、頭が小さい「小頭症」の子どもが生まれており、
日本政府は15日、患者を診察した医師に保健所への届け出を義務づけた。

ジカ熟自体は症状が軽く、過度に恐れる必要はないが、
妊婦を感染から守るためにも、ウイルスを媒介する蚊への警戒を高める必要がある。


ジカ熱は、ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染する。

輸血や性交渉での感染報告もある。

1947年にアフリカ・ウガンダの「ジカ森林」のアカゲザルから見つかった。
 
症状は、2~12日の潜伏期間後、発熱(38.5度以下)や頭痛、関節痛、発疹、結膜炎などが表れることがある。

急激な筋力低下やまひを引き起こす「ギラン・パレー症候群」を発症した事例も確認されている。

特効薬や予防するワクチンはないが、多くが2~7日で自然に治り、血液からウイルスがなくなる。
症状が出ない人も8割ほどいる。
 
問題は、ジカ熱が流行しているブラジルで、知的障害などか表れることもある小頭症の子どもが昨年10月から先月末までに4783人生まれていることだ。

世界的な脅威として世界保健機関は2月1日、緊急事態を宣言した。米疾病対策センターによると、流行地域は、ブラジルやメキシコなど30の国・地域である。

日本政府も監視体制などを強化した。

ジカ熱を4類感染症としたほか、妊婦に流行地域への渡航を控えるよう促し渡航者には長袖、長ズボンの着用と蚊よけスプレー使用して刺されないよう注意を呼びかけている。

今夏はブラジルで五輪・パラリンピックが開かれ、往来の増加が予想される。

熱帯医学の専門家は「軽症か無症状の人が気付かず帰国し、感染を広げる恐れがある」と警告する。

日本での感染拡大を防ぐためには、どんな点に注意が必要だろうか。

別の専門家によると、「ウイルスを持ち、症状がない人でも感染してから10日ほどは、他人にうつす危険性がある。潜伏期間中も感染拡大させる恐れがある」という。
 
また、「蚊が活動を始める5月以降、流行地域から帰国した人は、他人にうつさないよう、10日程度は蚊に刺されないことが大切だ。症状がある患者は、絶対に蚊に刺されないようにすべきだ」と話す。(国立感染症研究所ウイルス第1部の高崎智彦・第2室長)

帰国後4週間以内は献血できないので、輸血による感染の恐れは極めて低い。
 
発症2週間後も精液中にウイルスが残っていた事例があり、流行地城で感染した男性が帰国してパートナーにうつす可能性もある。

帰国後しぱらくはコンドームを使うことが望ましい。

一昨年、同じく蚊が媒介するデング熱の感染が東京都内で相次いだが、都は昨年、都立公園9か所で蚊の駆除を進め、再発を抑え込んでいる。

ジカ熱もこうした行政の取り組みに加え、国民も夏場に備えて蚊の幼虫が繁殖する雨水がたまるような場所をなくし、卵の駆除を進めることも大切だ、としている。

ジカ熱の特徴 まとめてみると
主な症状:発熱、頭痛関節痛、発疹、結膜炎。
・症状のない人もいる。症状が続くのは2~7日程度。
・ワクチンや治療薬はない。
・蚊に刺されないことが重要
・流行地域では、小頭症が増えている


関連参照
和食の知識
和食・粗食を考える
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2016年2月12日金曜日

日本のカカオづくり、小笠原・母島で

東京都の小笠原村の母島で栽培されたカカオを使ったチョコレートが完成した、というニュースが新聞にでていました。

 「『東京』の名に恥じない貴重なチョコを作りたい」という草加市の製菓会社の提案に、母島の農園が協力して実現した。

途中、植えたカカオの木が全滅するなどの困難を乗り越え、試作品を完成させた。商品化は2018年の見通しとなる。
 
カカオは、赤道を中心に
南北の緯度20度以内の地域で主に栽培されている。

東京から約1000キロ南にある母島は北緯26度。国産カカオの栽培を思い立った塚製菓の平塚正幸社長(66)が同村の農家に提案した。

栽培が始まったのは2010年。1000粒の種を植えて、167本が芽を出したが、2、3か月で枯れてしまった。

そこに、「南方の農産物を栽培してみたい」
と名乗りを上げたのが、母島でレモンなどを栽培してきた折田一夫さん(68)だった。

平塚製菓の支援を受けた折田さんは、大型のハウスを建設。台風にも耐えられる特注品で、カカオを大事に育て、2013年10月に初の収穫を迎えた。

「不安だらけだったが、本当にできるんだと自信を持てた」と折田さんは振り返る。 

カカオの実から豆を取り出すには発酵や乾燥の作業が必要で、チョコの試作品ができたのは昨年3月という。

外国産カカオで作ったチョコに比べて「マイルドでフルーティー」な味わいだといわれる。

今年は500本の木から約500キロのカカオ豆を収穫できる見通しだという。

来年はその4倍の収穫を見込んでいる。

平塚社長は「母島をカカオ・アイランドにして、島おこしにつなげたい」と意欲を語っているそうだ。

夢のある楽しい話ではありませんか。

2016年2月5日金曜日

豆腐入りのワカメ汁


ワカメなどの海藻は、
欧米では古くから「シーウィード海の雑草)」と呼ばれ、
せいぜい家畜の飼料や肥料ぐらいにしか使われませんでした。
 
ところが、最近では大きく変化しています。


ヘルシー志向の高まりもあって、

「シーベジタブル(海の野菜)」と呼ばれるようになり、

日常的に食用にする人たちが増えてきています。


いま世界的に脚光を浴びている「ワショク和食)」の影響があるのはいうまでもありません。


長寿年齢上位の日本人は、昔から昆布やワカメなどの海藻を常食にしてきました。
 
しかも、日本人は朝から何種類かの海藻を食べ、それが健康長寿の大きな支えになってきたのです。

和食の場合ご飯に味噌汁はつき物ですが、朝ごはんにはワカメと豆腐の入った味噌汁が多く、家庭だけでなく、旅館やホテルでもよく出ます。

これは占くから狭い島国に住んできた日本人の知恵で、
人口密度の良い社会でイライラしないで、楽しく暮らすための知恵だったのでしょう。
 
なにしろ、豆腐入りのワカメ汁にはカルシウムがたっぷり含まれていて、以下に示すように多いのです(いずれも100グラム当り)。

・木綿豆腐・・・・ 120ミリグラム
・乾燥ワカメ ・・・ 780ミリグラム
・赤色系味噌・・・130ミリグラム
・煮干し    ・・・・2200ミリグラム

だしは煮干ですが、煮干にはアミノ酸に加えてカルシウムが豊富です。

カルシウムは単に骨を丈夫にするだけではありません。

「食べるトランキライザー(精神安定剤)」ともいわれるように、
神経の興奮を鎮め、ストレスを解消する大事な作用があります。
 
さらには、カルシウムは脳の中の神経伝達物質アセチルコリンの働きを助け、
情報のやりとりをスムーズにする働きもしていて、記憶力や学習能力、創造力とも深い関係があります。

火山国の日本列鳥は、カルシウムの少ない火山灰上で形成された田畑が多く、加えてよく雨が降るので、土壌中のカルシウムか流失しやすいのです。

したがって、野菜にも穀物にもカルシウムが少なく、その不足分を補ってくれたのが、ミネラルたっぷりの海水の中でのびのびと育ったワカメなどの海藻でした。

さらには、だしとして用いられている煮干しやカッオ節には、カルシウムに加えて、ビタミンB1やB2もたっぷり含まれています。これらのビタミンB類はワカメにも含まれています。

このビタミンB類は脳の機能を向上させるために欠かせない成分です。
朝ごはんで豆腐入りのワカメ汁を食べて頭の回転を上げてください。
 
豆腐入りワカメ汁のパワーをよく知っていたのが江戸っ子です。

ワカメ汁が、今よりもはるかに過密都市だった江戸で暮らす人々のストレスの解消に効果的で、世渡りをスムーズにすることを、江戸っ子は経験的に知っていたのでしょう。
 

関連参照
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