それによりますと、クモの糸は細いのに柔らかくて強い、として21世紀の夢の素材として世界から注目されているそうだ。
「4億年の進化の歴史があるクモの糸は神秘的で奥深い」と、35年以上、クモの糸の研究を続ける奈良県立医科大の大崎茂芳特任教授は力説する。
大崎教授は天然のクモの糸・1万5000本でバイオリンの弦を作製した。
この弦は通常のものに比べ豊かで深みのある音が出ることを著名な科学誌で発表してプロの音楽家をも驚かせたという。
クモは一緒に飼うと共食いしてしまうので、糸を大量生産するのは極めて難しい。
そこで、農業生物資源研究所(茨城県つくば市)の桑名芳彦主任研究員らは、
カイコの遺伝子にクモの遺伝子の一部を組み込んだ。
このカイコが作る「クモ糸シルク」は、クモ糸のもとになるたんぱく質が全体の0.4~0.5%の重さしか含まれていないが、強度がシルクの1,5倍になったという。
桑名研究員は「カイコは大量飼育できる。クモ糸シルクは既存の機械で加工もできる」と強調する。
クモ糸たんぱく質の含有量を増やせば、強度がさらに増すことも期待でき、洋服や手術用縫合糸などに応用できるという。
一方、慶応大学発のペンチャー企業「スパイバー」(山形県鶴岡市)は、微生物で人工のクモ糸たんぱく質の大量生産を狙っている。
微生物は、さまざまなたんぱく質を作るように改変した遺伝子を簡単に組み込めるので、注文通りの強度や色を持つ糸を、自在に提供できるようになる。
今は微生物に組み込む最適な遺伝子配列を探している。
2007年に同社を創業した関山和秀代表執行役は「数年後にはクモの糸を使った製品を販売したい」と抱負を語る。
関連参照:
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