2015年4月22日水曜日

油の摂りすぎに体が追いつかない

日本では、1980年から90年にかけては、食の欧米化が一気に進んだ。

カレー、パスタ、グラタン、シチューなどの洋食のほか、エビフライやトンカツなどの揚げ物が若い世代を中心に多く食べられるようになった。
 
急速に進んだ欧米化は、肥満や生活習慣病など、以前では考えられなかったさまざまな健康問題をもたらした。

 
歴史的に見て、日本人はほとんど油を摂らない民族だった。

明治や大正、昭和の前半など、どの時代の食事を見ても、煮物やおひたしなど、油を使わない料理が中心だった。

 
例外として、精進料理では、豆腐を油で揚げたがんもどきや油揚げなどがよく使われている。

しかしこれは、魚や肉などが食べられない僧侶たちの栄養不足を補う目的で考え出されたものだ。
 
我々日本人は、欧米人に比べて、ずっと油を摂る歴史が浅い。

肥満や生活習慣病などの増加は、急速に増えた脂っこい食事に、日本人の体が追いついていないことを、はっきりと示している。


1990年から2000年にかけて、食の欧米化はますます加速する。

スパゲッティをとっても、ミートソースやナポリタンだけでなく、ボンゴレ、ペペロンチーノ、カルボナーラなど本格的になり、種類が増えた。バブルの頃には、イタめしが大流行し、食のファッション化か進んだ。おいしさだけでなく、食にもおしゃれや流行などの付加価値が求められるようになったのだ。
 
空腹を満たすだけで精一杯だった60年に比べ、それだけ社会が豊かになったのである。
 
食の欧米化は、2000年をピークに、緩やかに下降している。
人々の健康意識が高まり、和食の良さを見直そうとする揺り戻しが来たのだ。
 
また、度重なる食品偽装問題や、原発事故による放射性物質の問題など、目本の食卓は
今、かつてない危機にさらされている。

ここ数年の玄米菜食ブームなど、昔の食事法への関心の高まりや、オーガニック食材を扱ったレストランなどの流行は、人々が食に目新しさやおしゃれさてはなく、安心を求めていることの表れではないだろうか。

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●出典は東北大学・准教授、都築毅 著
『昭和50年の食事でその腹は引っ込む』講談社+α新書


関連参照:
スーパー和食-1。昭和50年の「和食」
焦げ・枯れ・錆びと老化
健康ライフのヒント集
スリムさんの感想


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