食欲がないときやきちんと食事をとる時間がないときなど、「せめて牛乳だけでも飲んでおこう」という方は相当多いのではないでしょうか。
カルシウムの摂取源、そして「完全栄養食品」として、私たちの今日の食生活における「牛乳信仰」の浸透度は著しいものがあります。
学校給食ではパンでもご飯でも必ず牛乳が添えられ、牛乳が嫌いであることは罪悪感さえ抱かせるほどです。
昨今よく耳にする骨粗鬆症を予防するための対策にも、こぞって牛乳や乳製品が取り上げられています。
普通の牛乳よりヘルシーなイメージのある低脂肪乳を愛飲しているスポーツ選手も多く、有名な選手が幼少の頃から牛乳パックを一日に何本も空けていたというのが逸話になっていたりもします。
分子栄養学の専門家・山田豊文氏によれば、
実はスポーツ選手を含めた現代人、特に今の日本人にとって、牛乳は健康によい食品ではないというのです。
以下この先生の著作を参考にして話を進めます。
まず、この先生、スポーツ選手の健康管理も担当していて、契約を結んでいるスポーツ選手の皆さんにも牛乳を飲まないようにアドバイスしています。
その理由は指摘し始めるときりがないほどですが、基本的には
①食性に合っていない、
②栄養のバランスを崩してしまう、
③細胞の働きを阻害する、
④有害物質に汚染されている恐れがある
⑤加熱殺菌によって食物酵素が破壊されている、
という5点に集約しています。
よく、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする人や下痢をする人かいますが、
これは乳糖不耐症といって、牛乳の成分である乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が体内に存在せず、未消化のまま陽を通過することが原因です。
しかし、この症状は決して特異な病気ではありません。むしろ正常な反応であるといえます。
私たちアジア人やアフリカ人、そしてヒト以外の哺乳類全般に共通して、授乳期の赤ちゃんはラクターゼをもっているものの、離乳と共に体内での働きを失います。
ところが欧米人は、緯度が高く農作物の育ちにくい土地で暮らしており、必要な栄養素を家畜の乳から摂取するために、数千年という長い年月をかけて、大人になっても乳糖を分解できる体の仕組みを「やむを得ず」獲得してきたのです。
それに比べ、日本人一股が日常的に牛乳を飲むようになったのは、たかだか数十年前というレベルです。
こうしてみれば、牛乳が私たち日本人の食性に合致したものでないことは明らかでしょう。
牛乳といえば、必ずといっていいほどカルシウムの話が出てきます。
カルシウムが私たち人間にとって非常に大切なミネラルであることは間違いありませんが、
かといってカルシウムだけを大量に摂取すると、
私たちの体は逆にカルシウムを体外に排泄してしまいます。
これは、体内で互いに拮抗し合うカルシウムとマグネシウムのアンバランスによって生じるものです。
カルシウムは血液中で情報伝達にかかわる重要な働きをしています。
不足すると支障が出るため、
体は骨からカルシウムを取り出すことで血中カルシウム濃度を一定に保とうとします。
骨の中でこの調節をするのが、マグネシウムです。
骨中のマグネシウムが少なくなると、この調節がうまくいかずにカルシウムがとめどなく溶け出すことになってしまいます。
私たち日本人に比べてカルシウムの摂取量は多いにもかかわらず、実は欧米人のほうに骨粗鬆症が多いという皮肉な現実があります。
これは、牛乳を含む欧米型の食生活ではマグネシウム摂取量が少ないため、カルシウムが排出されやすくなっているのも一因です。
例えば、骨粗鬆症は確かに骨からカルシウムが溶け出す病気です。
しかしこれは食事から摂取するカルシウムの不足が主たる要因というわけではなく、骨のカルシウムが失われやすい生活習慣(特にに食生活)によって生じるのです。
つまり、体の中でカルシウムが正常に働いていないことが最大の問題点であり、現代人はいわば「カルシウム生理作用不全症候群」に陥っているともいえるのです。
関連参照:
和食・粗食を考える
中高年からの筋肉作り
ビタミン・ミネラル活用事典
健康ライフのヒント集
スリムさんの感想
酵素丸わかり
素晴らしき発酵食
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